12月7日

こんにちは。もう一年も終わりに近づいています。

 

今回は先週の続き、ビネの公式の証明をしたいと思います。

ビネの公式って?と思う方は先にこの記事をお読みください。

→11月23日の記事

フィボナッチ数列の一般項を示すビネの公式はこのようなものでした。

$$a_n=\frac{1}{\sqrt{5}}\{(\frac{1+\sqrt{5}}{2})^n-(\frac{1-\sqrt{5}}{2})^n\}$$

これが成り立つことを証明したいです。

ああ、まず、$a_n$だとなんかフィボナッチ数列っぽくないので、フィボナッチの頭文字Fをとって$F_n$と表すことにしましょう。

$$F_n=\frac{1}{\sqrt{5}}\{(\frac{1+\sqrt{5}}{2})^n-(\frac{1-\sqrt{5}}{2})^n\}$$

はじめに大前提として。フィボナッチ数列とはこのように表されましたね。

$$F_n=F_{n-1}+F_{n-2}$$ ・・・①

ただこれだと、右辺の2つの項も求めなければならず、$F_n$を出したければその項までのフィボナッチ数列を全部求めなければなりません。めんどくさいですね。

なので、右辺をFなんちゃらとか使わずに表したいです。

ここで登場するのが、黄金比です。

黄金比とはなにか。数値だけでざっくり説明しますが、

$$x^2=x+1$$

という方程式の解です。x=1だと1=1+1ってなって右辺がでっかくなりますが、x=2だと4=2+1となって左辺が大きくなってしまいます。なのでxは1と2の間ですね。実はこの方程式の解、

$$x=\frac{1+\sqrt{5}}{2}or\frac{1-\sqrt{5}}{2}$$

という、平方根が出てくるいかにも無理数っぽい解なんです(実際無理数)。

まあとにかく、この二つの解の、左側のやつを$a$、右側のやつを$b$とします。

...計算してみるとわかるんですが、このaとb、

$$ab=-1,a+b=1$$

という整数になる性質があるんです。左側のabに関しては平方根の部分5でないと成り立ちません。

これを利用して、さっきの①の、フィボナッチ数列の式をこのように書き換えます。

$$F_n=(a+b)F_{n-1}-abF_{n-2}$$

これをこうして...

$$F_n=aF_{n-1}+bF_{n-1}-abF_{n-2}$$

$$F_n-aF_{n-1}=bF_{n-1}-abF_{n-2}$$

$$F_n-aF_{n-1}=b(F_{n-1}-aF_{n-2})$$

おっと...?

これ、左辺のやつのnから1を引くと、右辺のやつになっていますね。

要するに、1個前のn、つまり左辺のやつにbをかけると次のnの式、つまり右辺のやつになるので、左辺の$F_n-aF_{n_1}$という式は、公比がbの等比数列になっています!

と、言うことはです。

$$F_n-aF_{n-1}=b^{n-2}(F_{2}-aF_{1})$$

でです。$F_2$も$F_1$も、どちらも1ですよね。なので、

$$F_n-aF_{n-1}=b^{n-2}(1-a)$$

だんだんスッキリしてきましたね。思い出してください。aとbの関係として、a+b=1というのがありました。

...ということは、aを左辺に移行すると、b=1-aです。これってこの式にそのまま入れられます。

$$F_n-aF_{n-1}=b^{n-2}b$$

$$F_n-aF_{n-1}=b^{n-1}$$ ・・・②

右辺がbのみになりました!aとbの値は最初から決まっていたので、これで完了か...?と思いますが、違いますよね。左辺にまだ$F_{n-1}$が残っています。

実は、今までのと同じようにして、

$$F_n-bF_{n-1}=a^{n-1}$$ ・・・③

というのも示せるんですよね。

で、②と③を使って、$F_n=$なんちゃらっていう式にしたいんですよね。

...はい、こういうときはまず②から③を引きましょう。

いや!$F_n$消えるって!って思う方も多いと思います。ただ、これで良いんですよね。

$$F_n-aF_{n-1}-(F_n-bF_{n-1})=b^{n-1}-a^{n-1}$$

$$(b-a)F_{n-1}=b^{n-1}-a^{n-1}$$

で、こっからどうすればいいか?

単純です。nに1を足せば良いんです。

$$(b-a)F_n=b^n-a^n$$

で、後は簡単です。両辺をb-aで割れば、

$$F_n=\frac{b^n-a^n}{b-a}$$

右辺の分母と分子に同じ-1をかければ、

$$F_n=\frac{a^n-b^n}{a-b}$$

となり、こんなにもスッキリとした式になります!最後にaとbに最初に決めた黄金比の値を代入すれば、

$$F_n=\frac{1}{\sqrt{5}}\{(\frac{1+\sqrt{5}}{2})^n-(\frac{1-\sqrt{5}}{2})^n\}$$

となるんですね。長ったらしくなってしまいましたが意外と単純です。

 

今回はビネの公式、つまりフィボナッチ数列の一般項を求めました。次回は何かな...

では、来週も楽しんで!

出典:高校数学の美しい物語 フィボナッチ数列の8つの性質(一般項・黄金比・互いに素)https://manabitimes.jp/math/643