3月16日
こんにちは。気づけば暖かい季節がすぐそこまで来ていました。
先週はハーシャッド数に関する性質からの出題でした。
各位の和が1, 3, 9の場合はハーシャッド数である。
これを証明しましょう。
まず、1の場合はいいですね。各位の和が1なら、もとが10の倍数ということがちょっと考えたらわかると思います。1とか1000とか。000001000みたいな場合も1000なので10の倍数です。
あとは3と9の場合です。何が分かれば、証明できるでしょうか?
各位の和3と9の場合、それぞれもとの数が3, 9の倍数ならハーシャッド数ですよね。
ただ、証明したいのは必ずハーシャッド数になることなので、
各位の和3と9の場合、それぞれもとの数が3, 9の倍数ということを示す必要があります。それが示せれば、証明完了です。
まず、数はこのように表せます。
$$1a+10b+100c+・・・$$
例えば426なら、$a=6$、$b=2$、$c=4$で、
$$1×6+10×2+100×4$$
と表せます。まず、三桁の数$1a+10b+100c$について考えてみましょう。
この式、変形すると、
$$1a+10b+100c$$
$$=a+(9+1)b+(99+1)c$$
$$=a+(9b+b)+(99c+c)$$
$$=a+9b+b+99c+c$$
$$=9b+99c+a+b+c$$
$$3(3b+33c)+(a+b+c)$$
$3(3b+33c)$は3をかけているので、必ず3の倍数です。ということは、この三桁の数が3の倍数になるためには、$a+b+c$も3の倍数にならなければいけない、ということにならないでしょうか?$a+b+c$は各位の数なので、各位の和が3の倍数なら、もとの数も3の倍数ということがわかりました。これを$n$桁の数についても証明します。
$$1a+10b+100c+・・・$$
$$=a+(9+1)b+(99+1)c+・・・$$
$$=a+(9b+b)+(99c+c)+・・・$$
$$=a+9b+b+99c+c+・・・$$
$$=9b+99c・・・+a+b+c+・・・$$
$$3(3b+33c・・・)+(a+b+c・・・)$$
$3(3b+33c・・・)$は3の倍数なので、もとが3の倍数になるためには$(a+b+c・・・)$(各位の和)が3の倍数でなければいけないことがわかりました!
では、9の場合はどうなるのでしょう。ちょっと考えてみると結構簡単です。先程の式に出てきた
$$=9b+99c・・・+a+b+c+・・・$$
を変形すると、
$$9b+99c・・・+a+b+c+・・・$$
$$=9(b+11c・・・)+(a+b+c・・・)$$
となります。先程と同じようにa+b+c+・・・は各位の和なので、各位の和が9の倍数ならもとも9の倍数ということがわかりました。
整理しましょう。まず、初めに示したのが
・各位の和が1なら、ハーシャッド数である
ことで、全部証明するためには、
・各位の和が3と9の場合、それぞれもとの数が3, 9の倍数ということを示す
ことが必要でした。ついさっき示したのが、
・各位の和が3, 9の場合、もとの数が3, 9の倍数
ということです。あれ、もう証明できたじゃないですか。ということで、
各位の和が1, 3, 9の場合はハーシャッド数である。
ことがわかりました。
証明中で、各位の和が3, 9の倍数の場合はもとの数も3, 9の倍数になることを示しました。これ、3も9も3の倍数ですよね。
なんとなく、「各位の和が6の倍数ならもとも6の倍数なんじゃないの?」と思ってしまいますが、これ、結構大事な落とし穴なんです。
$$9b+99c・・・+a+b+c+・・・$$
この式を変形することで、各位の和が3, 9の倍数の場合はもとの数も3, 9の倍数になることを示しました。これを使って6の倍数のことを示そうとすると...?
式の道筋がわからないと、間違った応用をしてしまうこともあるんです。気を付けましょう。
今日のクイズはお休みです。