今年は特に暑かった...
なんだか、毎年そう言っているような気がしてきます。いつも、『今年こそは段違いに暑い!』と言って、同じことを繰り返している...それも、夏の風物詩みたいなものなんですかね。
なにはともあれ、とにかく今年は暑かったです゚(´;ω;`)
そして、暑さ以外にも『台風』が来ましたよね。
この季節になるとよく日本にくる台風ですが、今のところ今年は発生数が少ない方だとか。
しかし、これから急増するかもしれないので、注意が必要ですね。
今回は、8月8日〜8月10日の天気図について考察したいと思います。
※ここから先は気象に関する知識があり、基本的な天気図の読み取りに慣れている方向けの内容となります
ド素人なので間違いを含む可能性がありますがご了承ください
何を考察するか
まずはじめに、3日間の地上天気図(実況)をみて考えます。
8月8日21時地上天気図
8月8日21時。右下のコメント文にあるように、北緯33.2度、東経145.9度に中心気圧990hPaの低気圧があり、13ktで北北東進しています。海上暴風警報が発表されていて、そしてこれは台風ですね。コメント文により階級はSTS、平均風速48kt以上63kt未満です。
24時間先にかけて発達しながら北上する予想ですね。
また日本のはるか東に中心気圧1024hPaの高気圧があり、太平洋高気圧でしょうか。ゆっくり西北西に進んでいます。が、あまり張り出してはいませんね。
8月9日21時地上天気図
8月9日21時。関東の南海上に、中心気圧980hPaの低気圧があり、12ktで北上しています。右下のコメント文にも『STS〜』と書かれていて、平均風速48kt以上63kt未満ですね。8日の台風が進んできたもので、8日の予想位置とほぼ位置が一致しています。海上台風警報が発表されていますね。
そして、8日21時と比べて台風の進路が西側にそれています。これは日本のはるか東にある高気圧の高気圧性循環による流れが原因だと考えられます。
日本のはるか東に中心がある中心気圧1022hPaの高気圧(太平洋高気圧?)は、『ALMOST STNR』、ほとんど停滞していて、依然あまり張り出していません。
8月10日21時地上天気図
8月10日21時。台風は本州に近づき、中心気圧985hPaです。8月9日21時より少し衰弱したのでしょうか?
海上台風警報が発表されていましたがこのときは海上暴風警報が発表されており、ゆっくり北西進と、進むスピードも遅くなっています。
こう考えると、この台風のピークは8月9日あたりだったのでしょうか?
また、日本のはるか東にあった高気圧は東に進み、北緯26.7度、東経153度付近に新たな熱帯低気圧が発生しています。
今回はこの地上天気図をもとに、これらのことを考えたいと思います。
・台風のピークは9日21時あたりか?
・太平洋高気圧について
台風5号マリアの推移
1.台風の名前は『マリア』
まず関東の南海上あたりに中心がある台風について考察します。
台風の名は『マリア』。英語表記するとMARIAです。
3つの地上天気図すべてに、
STS 2405 MARIA (2405)
と記されています。きっと24が2024年、05が5号という意味でしょう。
台風ということなので、台風経路図もあり、気象庁で公開されています。

進路は右に湾曲した形をしています。太平洋高気圧が張り出していれば、左に湾曲した形になるはずで、一時的ではなく太平洋高気圧が張り出していないと考えられます。また、そこまで動きは遅くないですね。西日本に台風は接近しておらず、台風の左側は可航半円で右側より風が弱いので、影響は少なかったように見えます。
まず、中心気圧から勢力のピークを考えてみたいと思います。


これはあくまで『速報値』であって、確定したわけではないですが...それはともかく、『中心気圧』という項目がありますよね。それを見てみると、一番低い値は980hPaであることがわかります。しかし、9日3時〜10日6時の時と、11日3時〜12日5時の時と、中心気圧のピークが2つあります。その間で985hPaと少し高くなっていますよね。
では、台風の勢力としてはどちらがピークなんでしょう。
一目瞭然というわけではありませんが、最大風速を見ると前半のほうが30m/sと大きく、前半の9日3時〜10日6時あたりがピークと考えられます。なので、地上天気図で見た通りということですね。そのことを他の気象要素、高層天気図からも考察していきたいと思います。
2.500hPa高度・渦度、地上気圧・風・降水量
はい、まず間違えたことが一つあります。高層天気図の『予想天気図』はあるんですが、『実況天気図』を調べ忘れてました...
気象庁で手に入れることができますが、すでに時間が過ぎてしまい...他のサイトのものを使い二次利用に関してトラブルにはなりたくないので、ここでは省略させていただきます。

8月8日21時 地上気圧・風・降水量(下)
500hPa高度・渦度 12・24予想図(上)
少し画質が悪いのですが、ご了承ください...
あくまで予想ですが、台風中心付近にあたる500hPaの正渦度の極大値を見てみますと、9日9時は+392×10^-6 / s、9日21時は+678×10^-6 / sと、急激に大きくなる予想です。500hPa高度も5820mから60m低い5760mになります。
地上では気圧が992hPaから988hPaに4hPa低下する予想です。その影響で、少しですが、進行方向の右側(危険半円)で風速が大きくなっている気がします。強い降水もありますが、あまり雨量に変化はない感じがします。ただ、21時のほうがより中心付近で雨量が大きくなる予想です。

8月9日21時 地上気圧・風・降水量(下)
500hPa高度・渦度 12・24予想図(上)
500hPa渦度は、12時間後から24時間後にかけて752×10^-6 / sから699×10^-6 / sに、少し弱まる予想です。後者でもかなり大きいですけどね。というか、8日の予想と比べて正渦度域がすこし狭くなっている...?
また、5820mの等高度線が囲む領域が若干狭くなっている気がします。つまり、台風中心から少し離れた場所で高度が高くなっているということです。
依然台風中心付近で降水量が多いですが、24時間後(110mm)は12時間後(149mm)より少し少なくなっています。降水量のピークも9日夜遅く〜10日朝あたりということですね。
こう考えると、やはり9月21時あたりが台風の勢力のピークでしょうか。.....しかし、台風というのは温帯低気圧とは違いますよね。
台風の発達には『潜熱』が重要
そうですよね。しっかり相当温位を見た方が良いです。
3.850hPa相当温位

8日21時 相当温位12・24・36・48時間後予想図
明瞭な特徴として、24時間後、9日21時は高相当温位領域が少し不明瞭となっています。そのあとまた明瞭となります。

9日21時 相当温位12・24・36・48時間後予想図
中心付近の相当温位は高くなっていき、48時間後、372Kとなります。
つまり9日21時の変化は一時的なものだったんですね。
てことはこういうことかも.....?
9日21時までは相当温位が高かった→発達
9日21時に一時的に相当温位が低く→その後一時的に発達がストップ
9日21時以降にまた高く→また発達
だから、一時的に中心気圧が高く
先ほど示した台風の位置表で、一時的に中心気圧が985hPaと高くなったのはこれが原因だと思います。
つまり、前半の気圧の最低値と後半の気圧の最低値は同じ発達の過程だったと考えられ、いずれも降水量が大きかったということです。最大風速にもそこまで差はなかったですしね。
これを、1つ目の疑問の答えにしようと思います。
太平洋高気圧.....?
日本の東の高気圧は夏だし太平洋高気圧じゃないか?
例外もあるのかな?なんて思いながらも僕はこう思いました。
太平洋高気圧かそうじゃないか。判断するには方法がいくつかあります。今回は、500hPa高度と、その平年偏差、そして地上気圧の平年偏差について考えたいと思います。
1.500hPa高度

8月21時 500hPa天気図
上の500hPa高度を見てみますと、日本のはるか東に5880mの等高度線があります。そこにHの記号があり高圧部があります。つまり、この高気圧はあまり明瞭じゃない...?そんな感じがしてきます。
2.平年偏差
では、平年と比べて太平洋高気圧の影響は小さかったのか。
まず、今年の8月の気温は、平年よりも若干低かったようです。
え?あんな暑かったのに.....
ちょっと意外ですね。

今回考えている期間にあたるのは、左の2つに対しては左の方ですね。海面気圧の平年偏差は一番下です。
なので左下を見て考えます。平年と比べた気圧の偏差が表されていて、網掛けになっているのところは平年より低いところです。
すると、日本付近では気圧が平年より低くなっていることがわかりますよね。
左上の500hPaの平年偏差図でも、そこまで明瞭ではありませんが網掛域があり、平年より高度が明瞭に高い、というわけではなさそうです。
やっぱり、太平洋高気圧の張り出しはそこまで強くないようです。あまり影響を及ぼさず、そしてそれがあって台風の進路があんなふうになり、気温もそこまで上がらなかった、と考えられます。
まとめ
今回はこのような考察となりました。
・9日21時までは相当温位が高かった→発達
9日21時に『一時的に』相当温位が低くなったことでその後一時的に発達がストップしたが、その後また発達した
・平年より太平洋高気圧が活発ではなく、例えば東京では平年より8月の平均気温が低くなり、影響が比較的小さかった
これを、一ヶ月に一回のペースでこれからやっていこうと思います。
間違いもたくさんあるかもしれませんが、温かい目で読んでいただけると嬉しいです。