2月8日

こんにちは。いつになったら春来るんでしょうね。

今日は、ダニエル・ベルヌーイというスイスの数学者の誕生日です。

ベルヌーイに関しては物理学で功績を残しているのですが、ベルヌーイが生んだものとしてサンクトペテルブルクのパラドックスというものがあります。今回はこれを紹介したいと思います。

 

ここにコインがあります。表と裏があり、まずあなたはこれを投げてください。もし表が出たら、あなたは賞金として1円をもらえます。

しかし裏が出ても損するわけではありません。裏が出た場合もう一回投げ、そして表が出たら、あなたは倍の2円をもらえます。

そして2回目でも裏が出て、3回目に表が出ると、また倍の4円をもらえます。

そんなふうに、裏が出る事に賞金が倍になっていくというルールです。ただしこれには参加費が必要です。

参加費がいくらまでなら、ゲームに参加しても損はしないと考えてもいいでしょうか?

 

この問題を考えていきたいと思います。

一般的にこの種の問題では期待値を使います。期待値の説明は割愛しますが、使えばこのゲームでいくら得られるのかという見当がつきますよね。

...$k$回目でやっと表が出る確率は、$\frac{1}{2^k}$ですよね。また、賞金に関しては$2^{k-1}$です($k=1$なら賞金は1円)。

なので期待値を計算すると、

$$\sum_{k=1}^{\infty}\left(\frac{1}{2^{k}}\cdot2^{k-1}\right)=\frac{1}{2}+\frac{1}{2}+・・・+\frac{1}{2}=\infty$$

...あれ、無限大になりますね。

これ無限大の賞金を得られると考えられるので、参加費がいくらでも損しないと考えていいということでしょうか?

 

っていう、パラドックスです。実際そんなわけないんですよね。参加費500万円だとしてあなたは参加しますか?

なんでこうなるんでしょうか?

冷静になって考えてみます。主催者側が無限大の商品を支払えるはずがないのです。

だから、主催者側の財産が決まっていればゲームの賞金の上限もあって、期待値はそれなりに少なくなってしまうんですね。例えばコインの投げる回数の上限が10回だとしたら

$$\sum_{k=1}^{10}\left(\frac{1}{2^{k}}\cdot2^{k-1}\right)=5$$

期待値は5円です。それで参加費が100円だったら参加するわけがないですよね(ちなみに賞金の上限は512円)。

なので現実的に考えると矛盾した理由は「主催者側が無限にお金を支払えるという無茶な設定があったから」ということになるんですが...

無限に支払える、という仮定も一応できるんですよね。「金額」ではなくて「価値」に着目する効用を使えば解決した感じになるらしいですが、今回は省略します。興味があったら調べてみてください。

 

では来週も楽しんでやっていきましょう!