4月12日
みなさんこんにちは。全く関係ないんですが、今日は日本ではじめてパンがつくられた日らしいですよ。
...さて、突然ですが、『円積問題』って知ってますか?
単純に説明すると、
とある半径の円がある。それを使って、作図によって全く同じ面積の正方形を作図することができるか?
というものです。
ただし、いくつか条件があります。
まず1つ目。「作図の定義」についてです。作図は原則、定規とコンパスしか使ってはいけません。鉛筆とか使っちゃいけないの?という屁理屈は無視します。本当はもう少し作図の操作について厳密に考える必要があると思いますが...
そして2つ目。「作図の回数」について。何回しか操作しちゃいけない、という決まりではなくて、有限回の操作でなければいけないというものです。極端な話、無限回の操作が許されるなら、円周率もそこから導かれる円の面積も正確にわかるので正方形の作図は可能なはずです。
この2つを守ったうえでの問題です。実はこの円積問題、古代ギリシャの三大作図問題の1つと言われる難問なんです。そしてなんと解決までに約2000年もかかったのだとか。思い浮かべるだけで気の遠くなる年月ですね。
先に結論を述べるとこれは不可能です。
可能なことを示すなら具体的な方法を示せばいいですが、不可能ということを示すためにはどのようなアプローチが必要だったのでしょうか。
...それは、今回のテーマ『超越数』に関係してきます。
今日、4月12日はフェルディナント・フォン・リンデマンというドイツの数学者の誕生日です。大きな功績の1つとして、円周率$\pi$が超越数であることを示しました。
超越数。感覚だけで言えば、無理数のすごい版です。ちょっとしっかり言えば、
有理数が係数の代数方程式の解に絶対にならない数
です。まず無理数は分数にならない数ですよね。$\sqrt{2}$などがそうです。(循環小数は除きますが)小数部分が無限に続きますよね。
無理数については詳しくは説明しませんが、代わりに有理数が係数の代数方程式について触れておきます。
有理数係数の代数方程式とは
代数方程式は一次方程式や二次方程式とは違う特別な方程式、というわけではなくて、単に多項式と0を等号で結んだ形で表せる方程式です。一次方程式も二次方程式も、四次方程式も、代数方程式です。ちなみに、多項式と0を結ぶので$x^2+x+6=0$などがそうですが、
$$x^2+x=6$$
このような右辺が0出ない場合も、6を左辺に移項すれば0になるので、代数方程式です。図的なイメージで言えば、(厳密には代数方程式は多変数の場合も含むので変数が$x$1つの場合に限りますが)左辺を$xy$座標平面で表したときのグラフの$y$軸に交わる部分を表す方程式というわけです。
そしてこの代数方程式の中で、有理数が係数なので、
$$\sqrt{2}x^2+x=1$$
など無理数が係数のものは違いますね。また、三角関数や指数関数は使ってはいけません。
多項式と0を結んでいて、有理数が係数の方程式というわけですが、結局、ざっと言えばふつうの方程式、の事をいいます。
円周率は超越数、そして円積問題
さて、説明は端から端まで端折りますが、最初に出てきたリンデマンは円周率$\pi$が超越数であることを示しました。
初めに説明した通り、超越数は
有理数が係数の代数方程式の解に絶対にならない数
のことです。
...これを示したことで円積問題が不可能だとわかったらしいです。らしいですと曖昧な言い方をするのは、その説明を調べてみたんですが僕には証明が難しすぎてよくわからなかったのが理由です。
内容はわからなかったんですが、実はこんなことが示されています。
長さが超越数の直線は作図できない
曲線でもいいなら話は変わりますけどね。円がかけるので。
さて、円周率が超越数であることと、長さが超越数の直線は作図できないこと。この2つを組み合わせると、円積問題が証明できます。
厳密には間違っているかもしれませんが、一部のケースに対してだけなのですが、僕なりにざっくりとした証明を考えてみました。次回、示してみたいと思います。
では来週も頑張っていきましょう!